DNARについて考える

こんにちは！

気温の変化が激しいですね。

体調崩していませんか？

僕は難聴の患者さんを連日受け持っていたため、大声で話し過ぎて喉が痛くなりました。笑

医療者の方なら『DNRまたはDNAR』という言葉を聞いたり言ったことがあると思います。

日本語で簡単にいうと蘇生拒否。

心肺停止状態や急変時などに蘇生するかしないか患者さん本人または家族に確認するものです。

高齢の患者さんや重症患者さんに確認することが多いです。

蘇生拒否を希望された場合DNAR、蘇生を希望された場合をフルコース（心臓マッサージや気管挿管、昇圧剤などを使用する）と呼んだりします。

僕が前働いていた病院では『DNR』、今の病院では『DNAR』とちょっと呼び方に違いがあります。

ただ、Aがあるかないかだけなのですが気になったので調べてみました。

言葉の意味からまとめていきます。

・DNR

D do

N not

R resuscitation

・DNAR

D do

N not

A attempt

R resuscitation

違いは『Attempt』(試み）という言葉があるかないか。

本来DNRとは、終末期を迎えた患者さんが様々な治療を行った上で蘇生の可能性がないまたは低い場合、本人または家族の意思で心肺蘇生を行わないという意味で使われていました。

しかし、単に蘇生処置拒否と解釈されることがありました。

そこで、蘇生の可能性が高いにも関わらず心肺蘇生を行わないという印象を持たれやすいとして『Attempt』を加えて、蘇生の可能性が低いため心配蘇生を試みないという意味でDNARという表現が使われるようになりました。

調べるまで正直知らなかったです。

医療行為は誤解されることが多いですからね。

少しでも誤解のないようにするためですかね。

DNAR自体も結構曖昧なことがあります。

例えばDNARだけ昇圧剤や輸血は使用してほしいや１回は心臓マッサージをしてほしいなどの要望があることがあります。

結果、どこまでやればいいの？と問題になることがあります。

DNARについてもう少しまとめてみたいと思います。

・DNARは治療不要ではない

『急変時指示』などでDNARとされることがありますが、急変時とはどういう意味なのでしょうか。

急激に血圧が９０以下になっても急変ですし、突然心停止になっても急変です。

どちらも急変時として捉えてしまうとDNARは、治療不要という意味になってしまいます。

DNAR指示は、日本集中治療医学会の『DNAR指示のあり方についての勧告』によると『１．DNAR指示は心停止時のみに有効である。心肺蘇生不開始以外は集中治療室入室を含めて通常の医療・看護については別に議論すべきである』と記載されています。

また、『DNAR指示のもとに心肺蘇生以外の酸素投与、気管挿管、人工呼吸器、補助循環装置、血液浄化法、昇圧薬、抗不整脈薬、抗菌薬、輸液、栄養、鎮静、ICU入室など、通常の医療・看護行為の不開始、差し控え、中止を自動的に行ってはいけない。』と記載されています。

つまりDNAR指示は、心停止時以外の治療に何ら影響を与えないということなのです。

治療不要という意味ではありません。

難しいですね。

僕の中での解釈は『DNAR＝延命治療しない』だったので、心肺蘇生時のみ有効というところに驚きましたね。

血圧が９０台以下になった時も確かに急変といいますが、心停止の急変とは重みが違います。

もともと血圧が低いという方もいますし、降圧剤の効きすぎという可能性もあります。

酸素化が悪化したら酸素投与するし、血圧低下したら昇圧剤を考慮するし、炎症所見が上昇していたら抗菌薬を投与するし・・・

でも上記の医療行為って延命治療の一部なんですね。

何も治療しなければ状態は悪化していきます。

結果DNARオーダーを取っていたとしても心臓マッサージや気管挿管以外の医療行為は行っていることが多いですね。

改めてDNARについて調べてみました。

いつ自分が生死を彷徨うことになるかなんて誰にも分りません。

明日が来る保障なんてどこにもないのです。

だからこそ『今』を大切にしないといけませんね。

 家族間で、もし自分が心肺停止状態になった時DNARを希望するか、しないか話しておくのもいいでしょう。

僕は家族に、もし何かあっても延命治療はしなくていい。臓器提供していいよと伝えてあります。

親も同様の意志ですが、もし本当にそんな状態になった時その意志を尊重できるか心配ですね。