癌患者さんとどう関わっていくか
こんばんは!
以前、『看護って本当に難しい』という記事で癌患者さんとの関わりについて少し書きました。
再度、癌患者さんとの関わり方や心のプロセスについて勉強したのでまとめていきたいと思います。
まず癌(悪性新生物)は日本の死亡原因第1位です。
死亡原因の約30%を占めています。
3~4人に1人が癌で亡くなっていることになります。
では、癌と告知された患者さんんがどういった心のプロセスをたどるのか1つのヒントとなるのが、スイスの精神科医キューブラー・ロス博士が提唱した『悲しみを受け入れまでの5段階』です。これをもとに書いていきたいと思います。
第1段階 『否認』
衝撃的なニュースを聞いた時、誰もが「嘘だ」「何かの間違いだ」と事実を認めたくない気持ちになります。
癌も同じで「まさか自分が」「もう再発だなんて信じられない」と否認したくなりますが、心の防衛反応としては正常な反応です。
第2段階 『怒り』
癌が再発・転移したことを事実として理解できるようになると「なぜ自分だけがこんな目に遭うのか」と怒りが沸いてきます。
健康な人への羨望や、医師に対する反発心などが生じることもあると言われています。
目の前にある重すぎる事実を、他者を攻撃することで紛らわそうとする反応です。
第3段階 『取引』
なんとか延命できないかと、いわゆる‘‘神頼み”をする段階です。
「もし癌が治ったら全財産を寄附します」「出家して修行するので、癌を治してください」などど、何らかの交換条件を提示して病気の回復を願うことです。
第4段階 『抑うつ』
癌が進行したり、体力が目に見えて衰えてくると、前段階の取引が無駄であると考え、抑うつ状態に陥ります。
キューブラー・ロス博士の分析によると抑うつには、告知を受けた直後の『反応抑うつ』と、癌が進行して死を覚悟する際の『準備抑うつ』の2つがあるといいます。
後者のうつは、自分のなかの死生観を確立していく段階です。
第5段階 『受容』
前段階の抑うつも、ずっと続くわけではありません。
一定の期間が過ぎると、事実をそのまま受容できるように精神面に変化が表れます。
悲しみや恐怖に包まれていた状態から、穏やかで静かな感情に移ると言われています。
この5段階は絶対的なものではありません。この5段階をいったりきたりすることもあります。
では、癌患者さんとどのようにコミュニケーションをとっていけばいいのでしょうか。
・オウム返しでは、共感は伝わらない
傾聴、共感は大切です。
ただ共感する、共感していることを患者さんに伝えるための過程、考え方は様々です。
相手が発した言葉を繰り返す、オウム返しが共感を示すのに適しているとよくいわれますがそうではないのです。
死に直面してとても不安だったり、自分の人生を真剣に振り返ったり、これからの人生について深く考えようとぢている方に対して、オウム返しを用いたコミュニケーションをとることによって、看護師が真剣に患者さんのことを考えていること、共感していることが相手に確実に伝わるわけではないと思います。
むしろ、技術的なオウム返しでは、、伝わらないことの方が多いかもしれません。
オウム返しを100%否定するわけではありませんが、ただオウム返しをしていればいいというようなマニュアル的な考えはよくないと思います。
また、共感が大切といっても、簡単に共感できるものではありません。
実際に癌患者さんになったことがない僕たちにはわかってあげられないもあります。
共感したつもりや共感したふりをすることよりも、わからなくてもできるだけわかろうとする姿勢や理解できていないことを自覚したうえで、それでも患者さんに関わっていこうとする努力、そういった正直さ誠実さのほうが大事だと思います。
・普通の言葉のキャッチボールをする
話題が深刻な内容でも患者さんが話したい話題であれば、どんどん会話していいです。
患者さんが話したいのなら、話したいことを我慢しているほうが心理的な負担となってしまうので、その負担を軽減することのほうが大切です。
むしろ、話題を避けたがっているのは医療者のほうだという自覚があってもいいかもしれません。
普通の会話のキャッチボールをできること自体が、患者さんの精神衛生のために必要な環境の一部であると理解して、看護師の気持ちを伝えながら、コミュニケーションをとっていきましょう。
今回得た知識をこれから活かしていきたいです!