患者さんを長生きさせることがその方にとって本当に幸せなのか?
こんばんは!
最近読んだ本の紹介です。
タイトルは『最後の医者は桜を見上げて君を想う』
なんとなくタイトルで気になったので購入してみました。
宮古島旅行の往復の飛行機内で読みました。
機内じゃなければ泣いていたかもしれません。
あくまで小説の話ですが、いろいろ考えされられる部分がありましたので紹介したいと思います。
作者は二宮敦人さんです。
この方の小説を読むのは初めてだと思います。
・あらすじ
あなたの余命は半年です。
ある病院で、医者である桐子は患者にそう告げた。
『死神』と呼ばれる彼は『死』を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。
だが、副院長である福原は奇跡を信じ最後まで『生』を諦めない。
対立する2人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?
究極の選択の前に、患者たちは何を決断できるのか?
それぞれの生き様を通じて描かれる、眩いほどの人生の光。
息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ。
僕はこのあらすじに惹かれて購入しました。
医療者が『死神』と呼ばれるなんてとても不名誉なことですよね。
きっと患者に興味がなく、全然患者と関わろうとしない医者なんだなとあらすじを読んだ時は思いました。
メインの登場人物は3人の医者です。
・奇跡が起こる可能性を信じ、最後まで最善を尽くす医師の福原
・病気の進行度、治癒の可能性、どう生きて死ぬのが患者のためなのかを考える医師の桐子
・その同期2人の仲裁役で、どうすることが患者にとって最善なのか模索する医師の音山
この3人を中心に物語は進んでいきます。
本は3部構成になっているので読みやすかったです。
1.とある会社員の死
2.とある大学生の死
3.とある医者の死
という構成になっています。
見てわかる通り、どの章でも人が亡くなります。
その人がどう生き、どう最後を迎えたいのか。
福原と桐子は自分の信念を信じ真っ直ぐ進んでいきます。
音山はその2人に仲良くしてほしいと思いながらも、自分はどこで医者と信念をなくすてしまったのか、自分はどんな医者になりたかったのかと模索します。
僕は病院で6年間働いていますが、桐子のような医者には出会ったことがありません。
というか世の中にこんな医者いるのか?と思うぐらいです。
福原のように最後まで奇跡を信じ治療を諦めない医者がほとんどです。
ですが、桐子のような医者も必要だと思います。
奇跡を信じることは大切ですが、患者さんがその人らしく最後まで生を全うできるようにサポートすることも大切な医療者の仕事じゃないかなと思ったりします。
入院患者さんの中には簡単に言うと延命されているだけの方もいます。
そんな姿を見て『この治療を受けて患者さんは本当に幸せなのかな?』と思うことがあります。
多くのルートが挿入され、そのルートを自己抜去しないように抑制され、鎮静剤で眠らされ・・・。
『この状態って幸せなのかな?』とふと思ってしまいます。
もちろんそれが患者さんにとって必要な医療行為なのですが・・・。
第1章で桐子は患者に「病気に勝つには、死ぬのも一つの方法であると思いませんか?」といいます。
衝撃ですよね。
僕は何度も医者から家族へのムンテラ(病状説明)に立ち会ったことがありますが、こんな言葉を聞いたことはありません。
だいたいは「まだ可能性はあります」や
「次はこの治療をやってみましょう」
せめて「現状かなり厳しいです。やれるだけのことはやります」程度です。
この小説を読んで、『生きるとは何か。死ぬとは何か。』と何度も考えました。
正解なんてありません。
ただ自分自身が信じた道を、自分が生きたい道を選んでいくのがいいのかなとは思いました。
次回は小説内の名言等をまとめたいと思います。